データスチュワードとは?データマネジメントにおいて果たす役割と育成方法を解説

データスチュワードとは?データマネジメントにおいて果たす役割と育成方法を解説

データマネジメントにはさまざまな「人材」が必要です。それぞれの人材は「データを作る人」や「データの課題を発見する人」などの役割に応じて集められ、適材適所に配置されます。本記事では、そのような人材のひとつ「データスチュワード」について解説します。

データスチュワードとは

データスチュワードとは、ひとことで言うと「データを管理する人」です。

もともと「スチュワード(steward)」という英単語には「執事」や「管財人」という意味があります。どちらも他人の財産(家や財産)を管理する人ですが、データスチュワードも同じように、データという企業の財産を管理する人です。

ちなみにデータマネジメントの知識体系「DMBOK」の第2版では、データスチュワードは「顧客の所持金を預かって管理する銀行」にたとえています。

では具体的に「データの管理」とはどのような行動を指すのでしょうか。

データスチュワードの具体的な役割

データの管理とは、それぞれのデータが「本来どうあるべきか」を決定することです。それにはデータ作成のルールを決めたり、データの品質を確保するうえで課題となることを洗い出すといった作業も含まれます。

DMBOK第2版によると、データスチュワードの役割は次の4つです。

①核となるメタデータの作成と管理(Creating and managing core Metadata)

メタデータとはデータそのものではなく「データを表す属性や関連する情報に関するデータ」です。
たとえば、「住所」というデータについて「郵便番号、都道府県、市区町村、番地の順に記述する」と決めるのがメタデータの作成です。
データスチュワードは社内で扱うデータについて「核となる(重要な)メタデータ」を定義し、それを管理します。

②ルールと標準の文書化(Documenting rules and standards)

ここでいう「ルールと標準」には、データ品質を維持するためのルールに加えて、データを扱う業務に関するルールや手順も含みます。データスチュワードはそれを文書化(もしくは文書化されていることを確認)し、必要に応じて見直します。

③データ品質の課題管理(Managing data quality issues)

社内のデータ資産を監視して、データ品質やデータ利用に関する課題がないかどうかチェックします。もし何らかの課題が見つかった場合、その解決に向けた取り組みを行うのもデータスチュワードの大事な役割です。

④データガバナンス活動の実施(Executing operational data governance activities)

データガバナンスとは、健全なデータ活用を行うために必要な社内のルールや管理体制のことです。具体的には「ルールの策定やルールの遵守状況を監視する組織づくり」や「ガイドラインの作成と社内周知」などが挙げられます。

データ活用に関する問題が発生した場合、データスチュワードはチーフデータオフィサー(CDO:データ活用の統括責任者)に速やかに報告します。

データスチュワードを確保する

DMBOKの第1版によると、データスチュワードは「作るものではなく、発見するもの」です。この表現は社内でデータスチュワードの役割を担う人材を確保するプロセスと関係しています。

データスチュワードに必要な資質

データスチュワードを確保するプロセスを説明する前に、データスチュワードに求められる資質について説明しましょう。

先に紹介した4つの役割を見ると、少なくともデータスチュワードには「メタデータの作成」や「データの管理」などデータマネジメントに関する専門知識が必要です。しかしそれだけではすべての役割を果たすことはできません。

たとえば、メタデータの作成には「そのデータを扱うビジネスにとって何が重要か」を見極める目が求められます。データ品質の管理や課題の発見についても同じです。

つまりデータスチュワードには、対象となるビジネス分野の知識と、それをデータマネジメントの専門知識と組み合わせる能力が欠かせないということです。

データスチュワードに求められる資質

・データマネジメントに関する専門知識

・対象となるビジネス分野についての知識

・両方の知識を組み合わせる能力

Step1:資質を持つ人を発見する

ここからはデータスチュワードを社内で確保するためのステップを紹介します。ステップ1は「資質を持つ人を発見する」ことです。

これまでデータスチュワードという「ポスト」を置いてこなかった組織も、データを扱っている以上、実は多かれ少なかれデータスチュワードと同じ業務をしている人が存在します。まずはそのような知識やスキルを持った人を、ビジネス領域や業務領域ごとに見つけなくてはなりません。

Step2:役割を明確にして権限を与える

人材が見つかったら、その人を「データスチュワード」として任命して権限を与えます。このように形式を整えることで、自他共にデータスチュワードの役割が認知され、質の高い仕事を効率的に行えるようになるでしょう。

まとめ:データスチュワードはデータマネジメントのカギ

データスチュワードは「会社の資産」であるデータを管理し、ビジネスにおける効果的なデータ活用を可能にします。これからデータスチュワードを置くという会社は、まずは自社の中にいる「資質を持った人」を見つけるところから始めてみてください。

 

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