by Anthony Behan
この記事は、2022/09/06に公開された「Modern Data Architecture for Telecommunications」の翻訳です。
ここ数年、世界中に混乱がもたらされたのにも関わらず、電気通信業界はそこまで痛手を追うことはありませんでした。コールセンターにおける従業員管理には課題が残り、また、少しずつ解決しているものの光ファイバーブロードバンドやその他の物理的インフラの受注残があります。しかし、デジタルトランスフォーメーション (DX) は加速し、5G を中心としたサービスイノベーションは急速に進んでおり、株式市場での成果も堅調に推移しています。
課題
この変化の間、データは規模と重要性を増し続け、今日、通信事業者はデータアーキテクチャを単なる IT チェックリストの項目としてではなく、独立した組織的課題として捉えるようになってきています。
その理由はさまざまで、中でも企業の顧客需要、AI と自動化の重要性、デジタルチャネルの変革が3大要因となっています。しかし、導入されるデータ構造の種類は、これまでのものとは異なります。
以前は、通信業者のデータ構造は3種類でした。
- アプリケーションベースのデータセット:請求システム、コンタクトセンター支援システムなど
- エンティティデータセット:マーケティングデータレイクなど
- アドホックプロジェクト:多くの場合、オンプレミスまたはパブリッククラウドに「シャドーIT」として設置される
このような構造は事業全体に数多く存在し、買収ごと、事業分野ごと、役員組織ごとに多重化していました。その結果、事業全体で膨大な量のデータが重複し、細分化したデータ戦略、把握できていなかったコンプライアンス問題の発覚、データベースのプロセスの不整合につながったのです。
現在、通信事業者では、これらの課題に取り組むためにどのようなデジタル戦略をとっているのでしょうか。
通信事業者がモダンデータアーキテクチャ取り入れるべき理由
モダンデータアーキテクチャを推進する根拠には、いくつかの理由があります。
- クラウドへの移行:通信事業者は自社の IT インフラを再評価し、パブリッククラウドを最大限に活用することで、よりコスト効率の高い運用を模索しています。
- セキュリティとコンプライアンス要件:新たな規制により「違反しているか」、さらに「どうすれば違反していないことが確信できるのか」 という疑問が生じています。
- 細分化されたサイロ:高度に細分化されたデータ資産と最小限のエンタープライズデータガバナンスにより、データ管理責任者は、責任を軽減し、セキュリティとコストをよりよく管理するための手段を特定することが求められています。
モダンデータアーキテクチャの傘下には、大きく分けて3つのアーキテクチャがあります。
- 最適化:データレイクハウスは、データ資産が存在するプラットフォームです。これは単一のリポジトリではなく、ストレージ機能に限定されるものでもありません。エッジアナリティクス、データステージング、データ品質管理、データ可視化ツール、機械学習など、エッジから AI への一連の機能です。データアプリケーションと変換機能で構成され、パブリッククラウドとオンプレミスのアセット間の関係を維持します。データレイクハウスは、ビジネス全体でその機能を公開するプラットフォームであり、複数の関係者がエンタープライズデータアセットに関わり、データプロダクトを構築できるようにします。MTN のような Cloudera のお客様は、異なるオペレーターシステムからのデータをデータレイクハウスで統一することで、加入者の360度のビューを作成しました。パフォーマンスデータの有効活用と分析機能により、MTN のセル範囲とネットプロモータースコアが向上し、顧客離反率と通話の中断が減少しました。
- オーケストレーション:データファブリックは、オーケストレーションとガバナンスの主要な層で、これもまた必ずしも単一のシステムや環境ではなく、データアセットに秩序をもたらす一連のツール、機能、プロセスです。データファブリックは、パブリッククラウドとプライベートクラウドにまたがって動作し、エンタープライズデータポリシーを全社的に展開できるようにする必要があります。データファブリックは、データアーキテクチャのコンプライアンス、セキュリティ、および変更を推進します。
- 再構成:データメッシュはビジネスレベルの構造であり、トップからボトムまでのデータ製品に関わる人材やビジネスドライバーを含みます。この構造には、顧客維持のようにビジネス自体で消費するものと、IoT データサービスのように企業の顧客やパートナーに提供するもののいずれかが含まれます。データメッシュは、ファブリックとレイクハウスをビジネスの最高レベルであるLOB リーダーに結び付け、データを単なるコストではなく、戦略的資産として展開することを可能にします。
Clouderaによるモダンデータアーキテクチャ:通信事業者のためにすべてを統合する
Cloudera は、総量約1ZB を管理し、世界のトップ10に入る通信サービスプロバイダーを含む通信事業者が、モダンデータアーキテクチャによってビジネス価値を迅速に推進することを可能にしてきました。
Cloudera Data Platform(CDP)は、通信事業者スケールでどこでもデータを利用できるモダンデータアーキテクチャを実現します。レガシーなビッグデータテクノロジーとハイブリッドクラウドデザイン、高度な AI とアナリティクスを完全にガバナンスされたオープンプラットフォームで組み合わせた CDP は、世界最大の通信サービスプロバイダーから、世界最大の通信会社データワークロードのために選ばれるようになりました。
主な設計方針は以下の通りです。
- マルチクラウドとオンプレミス:Cloudera は、マルチクラウドとオンプレミスのデータ管理および分析にまたがる、唯一のハイブリッドデータプラットフォームです。これにより、パブリッククラウドの利点を活用しながら、PII やその他の機密データをオンプレミスで保持することができます。
- 一度書けば、どこでも実行できる:Cloudera のポータブルで相互運用可能なデータサービスにより、一度書いたらどこでも実行できる多機能な分析が可能になります。これにより、アプリケーションの移行コストを最小限に抑え、新しいデータ製品の市場投入までの時間を短縮することができます。
- セキュリティとガバナンスの統合:Cloudera Data Platform は、オンプレミスおよびマルチクラウドにおいて安全でオープンなデータ管理とガバナンスを可能にします。また、Cloudera Shared Data Experience(SDX)を通じて、オープン(およびクラウドネイティブ)ストレージ形式を活用することで最大限の開放性と相互運用性を実現しています。LG Uplus、Deutsche Telekom、Vodafone Automotiveなどのグローバル通信事業者がCloudera上でデータの未来を構築し続けています。
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