5Gとその先へ向けた Cloudera と AWS を使った通信データ収益化戦略

5Gとその先へ向けた Cloudera と AWS を使った通信データ収益化戦略

by Anthony Behan, and Jon Penrose
この記事は、2023/09/15 に公開された「Telecommunications Data Monetization Strategies in 5G and beyond with Cloudera and AWS」の翻訳です。

世界はデータで溢れており、それが特に顕著なのが、通信業界です。Cloudera の顧客は、毎日数ペタバイトものデータ (テラバイトの数千倍) を取り込んでいます。そしてこのデータは、人々や企業、都市、エコシステムの機能について詳細に理解することができる可能性を持っています。そうした情報は、不具合の解消から、家族が必要に応じたコンテンツパッケージを確実に得られるようにすること、IoTデータに基づく企業向けのサプライチェーンダッシュボードに至るまで、通信事業を管理する上で不可欠なものです。

世界は変わりました。今やビジネスと人々はつながっています。データへのアクセスとやりとりは、多くの業界で業務を管理する上で重要となっています。例えば小売業では、顧客と小売店/配送センターとをつなげることにより、誰が、どこで、何を購入しているのかをエコシステム内の企業が理解することができるようになりました。市民の安全を守り、保護する行政サービスにおいては、知識と即時のデータアクセスが重要です。自動車アフターマーケットの分野においては、コネクテッドカーに無線を通じてアップデートを行うことで、自動車の性能をトップオブマインドにすることができます。通信産業はこれらを実現する通信ネットワーク管理の中心に位置しています。もちろん、プライバシーや消費者保護やデータセキュリティの要求も伴いますが、サードパーティの事業者に大いに役立つ可能性がある潜在的な資産を通信事業者が有していることは確かです。問題は、ビジネスと人々のつながりを実現するデータ資産の収益化をどのように行うかということです。

通信における現実世界のデータ収益化の機会

評価というものは部分的には独自性を明確にすることから始まります。通信事業者、中でも 特に無線通信事業者の場合は、独自性の重要な要素とは地理上の位置情報です。都市における交通の流れや歩行者の移動の仕方を時間の経過の中で詳細に理解することは、都市計画者や小売業者、不動産業の経営者、インフラストラクチャのプロジェクトにとって非常に重要です。確立されたパターンにおける例外を認識することは、治安維持やセキュリティサービス、さらには交通事故の事前警告といった役立つ洞察を提供することに役立つ可能性があります。またデジタルの屋外広告 (OOH) は、ますますプログラムベースな分野になってきており、位置情報は、公共の看板のターゲティングの改善に役立つ可能性があります。

もちろん、オンライン上のデータセットはさらに豊富になります。多くの通信事業者は広範囲の国内コンテンツ資産を有しています。その内容は自社のオンライン小売店に始まって、多くの場合スポーツや映画、ゲームなどの多彩な有料コンテンツにまで広がっています。こうした環境における消費パターンをモデル化することで、広告主に知見を提供することができ、またそうした知見を家庭内でのセットトップボックスの活動と組み合わせることで、そのモデルの価値をさらに高めることができます。

IoT が急成長しインターネットにつながるデバイスが増えていることから、商業ビルの来客者数、小売店の滞在パターン、住宅専有率といった、屋内の行動をモデル化する機会が一層生み出されています。こうしたデータは家庭向けの新たな製品の開発に関心を持つ広告主や店舗経営者、コンテンツパートナー、さらに保証サポートを提供する家電製品メーカーや、水、ガス、電気などのユーティリティ企業といった無数の消費者向け事業者に豊富な機会を提供してくれます。

管理と収益化の基礎作り

データから収益を生むためには、ビジネスの設計は上に述べた通り市場から始めて、セグメントとターゲットを特定することとなります。これは一般的には、コネクティビティ、顧客構内設備 (CPE)、その他の機器などを提供する「従来の」通信事業の B2B ポートフォリオに適合させる必要があります。次に、アマゾン ウェブ サービス (AWS) などにおけるダッシュボードや開発環境といったコラボレーションツールもまた考慮すべき重要な要素です。これらすべての基礎となるのは、適切なガバナンス (例えばプライバシーの懸念を守るためのマスキングと匿名化など) やセキュリティ (ユーザーアクセス制御)、包括的な可観測性 (訴求を目的とする) を備えたデータ資産そのものです。こうしたすべては、Cloudera SDX (Shared Data Experience) で標準機能として提供しています。最終的にデータ管理は、ハイブリッドデータクラウド全体で適切に管理し、堅牢に保持することで、AWS などのパブリッククラウドや、規制やクライアントの需要によって必要となるオンプレミスのインフラストラクチャ資源を最大限活用できるようにする必要があります。

内部および外部のデータ製品

通信事業者は、他の組織とは比べ物にならないほどに親密な顧客との関係を有しています。ネットワークからほぼリアルタイムに得られる顧客の位置情報、流動性、好み、行動に関するきめ細やかな詳細と組み合わせることで、通信事業者は自社のデータの力と可能性を活用する独自の地位を占めることができます。

上に述べた内部および外部のデータの直接の収益化の機会だけではなく、通信事業者はクラウドベースの IT アーキテクチャを活用することで「データブローカー」として機能することができます。つまり、ファーストパーティとサードパーティのデータソースを取り込み分析インフラストラクチャと組み合わせることで、豊かで収益化可能なデータ製品を生み出すことができるということです。こうした製品を内部の関係社が活用し、外部に向けて売り出すことで、無数のバリューチェーンやサプライチェーンに縦横に広がる幅広いユースケースや可能性をもたらすことができます。

Cloudera と AWS 上でのデータ収益化戦略の構築

AWS ではこうした取り組みをサポートする複数の製品やソリューションを提供しています。AWS Clean Rooms は、顧客とパートナー企業が基礎データを共有したり公開したりすることなく、簡単かつ安全に自分たちの共同のデータセットを分析し協力して取り組むのに役立つ分析サービスを提供します。それによって、データ共有とプライバシー保護に関わる多くの課題を克服しています。

組織は安全なデータクリーンルームを数分で作成し、Cloudera Data Platform (CDP) と連携し、相乗効果を高める方法で複数の強みを組み合わせます。それによって、通信事業者が先進的なデータ管理と分析能力を通じて自社データの収益化を模索することができる健全で包括的なソリューションを提供することができるようになりました。CDP を AWS のスケーラブルなクラウドインフラストラクチャやサービスと円滑に統合することで、莫大な量のデータを効率的に収集、保管、処理、分析することができます。Cloudera の強力なデータ管理ツールを AWS のスケーラブルな計算資源、ストレージのオプション、専門サービスとともに活用することで、データに基づく知見を最大限活かして、情報に基づいた意思決定や、革新的な利用方法、合理的なデータ収益化戦略を実現することができます。

データはAWS Data Exchange (ADX) を通じて内部で共有したりサードパーティと共有したりすることができます。これにより通信事業者は基地局の通信範囲や地理空間データセットなどの大量のデータから直接に、貴重なデータソースを円滑に発見し、サブスクライブし、集約することができるようになります。より深い洞察や追加のコンテキストはAmazon Marketing Cloud (AMC) と統合することで導入することができます。これにより、通信事業者は自社の顧客ベースに関する知識を、例えば amazon.com から得られる製品の閲覧や購入行動などの匿名化されセグメント化された小売ベースの知見と組み合わせることで、より効率的にターゲットを定めた宣伝活動を行うことができるようになる可能性があります。

こうした部分の準備が整えば、データ製品は永続的なサブスプリクションベースの製品として、あるいは消費ベースの API として利用可能となり、知見を必要としている市場に向けて適切に管理された扱いやすいデータ資源を提示することができるようになります。

Cloudera と AWS が協力し通信事業者のコストを削減

Clouderaと AWS は協力して世界中の通信産業の課題に取り組んでいます。例えば、ハイブリッド CDP の活用に関する顧客特有の分析を提供することで、パブリッククラウドとデータセンターのオーバーヘッドを比較してコスト削減を示すことができます。また、AWSのインテリジェントなストレージ階層化ソリューションを Cloudera の  CDPと組み合わせることで、稼働コストを最小限にする方法を組織に示すことができます。

さらに、ハイブリッドアーキテクチャによって、Cloudera と AWS は単一のデータプラットフォームの保護化にあるオンプレミスの存在を維持しつつ、機密性の低いデータをパブリッククラウドに移す方法を組織に示すことができます。これは変化しつつある業界にとっては有力な機能です。これらすべてに基づき、組織は従業員や顧客のエクスペリエンスを一変させることができる、将来においても有効な LLM や生成 AI のソリューションを構築することができます。

Cloudera と AWS の協業の詳細については、こちら (英語) をご覧ください。

 

Cloudera Japan Marketing
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