AIファーストになる:どのように実現するのか

AIファーストになる:どのように実現するのか

by Chris Royles
この記事は、2022/05/18に公開された「Becoming AI-First: How to Get There」の翻訳です。

AI ファーストの戦略を採用するという決断を下すのは、AI 導入の工程の中では、簡単なことです。しかし、その実行について考えるには、もう少し努力が必要です。明確に定義された目標と、現実的な実行計画を中心に据えた、明確なビジョンを持つことが必要となってくるのです。

AI ファーストとは、将来に向けて組織を整備することです。データ、分析、自動化を活用することで、企業は現在どこにいるのかと進むべき方向性を、よりよく理解することができます。AI ファーストの姿勢は、市場の変化や新たな需要に適応するための情報と敏捷性を企業にもたらすことができます。

文化を意識する

変革を実施するとき、それがその組織の文化にどのような影響を与えるかを考慮する必要があります。人々は、変化に抵抗する傾向があります。特に理由を理解していなかったり、明確な利益を見いだせなかったりすると、その傾向が顕著です。

AI ファーストの戦略は、トップによるサポートから始まります。経営陣には、変革に価値を見いだし、それをサポートすることを決断してもらい、そして、すべての関係者から賛同を得る必要があります。AI を導入する際には、組織全体が、そのテクノロジーと、ポジティブな変化をもたらすものであるというAIの持つ可能性を信頼しなければなりません。簡単に言うと、AI が自分たちの生活をより良くしてくれると信じる必要があるのです。

従業員には、AI がもたらす変化と、それが自分の仕事にどのような影響を与えるかを伝えておくことが重要です。それによって、システムが完全に稼働したときに、従業員はより良い準備ができているようになります。

ユースケースを想定する

AI ファーストの戦略に着手する際、組織には目的意識が必要です。テクノロジーをどこでどのように使うか、その効果を把握するために時間をかけることが重要です。つまり、AI を活用したデータ分析と自動化により、効率性、生産性、プロセスの最適化を促進するシナリオを策定することです。

このシナリオ策定では、ユースケースとその目的はできるだけ具体的であるべきです。例えば、機器にセンサーを設置してデータを取得するメーカーは、そのデータの利用計画を立てる必要があります。予知保全を行い、システムを最高のパフォーマンスで稼働させるためでしょうか?それとも、そのデータは他の用途にも使われるのでしょうか?

温度や湿度など、機械の状態や生産性に影響を与える環境条件について、データを活用することもできます。また、機械とそれを管理するスタッフの両方の最適化につながる使用パターンを明らかにすることもできます。

成功するアプローチは、一般的にコスト削減や新たな収益を目標とし、AI ユースケースの広範な展開のためのバリューケースを構築することを支援するものです。

現実的な計画の策定

最終的に AI ファーストを実現するには、企業を総合的に変革する必要がありますが、それは一夜にして実現できるものではありません。まずは小さく始めて、1つずつユースケースを実装し、その後に続くユースケースをどのように補完するかを考えることが望ましく、また安全でもあります。

まずは、それぞれのユースケースについて、自動化したいプロセスやタスク、AI が解決できる悩みの種などの包括的なリストを作成します。ユースケースは、自社の最も緊急なニーズ、もしくは、AI の導入が最も大きな影響を与える分野に基づいて優先順位をつける必要があります。

例えば、小売業では、POS システムと在庫システムを同期させても、在庫を補充するためにスタッフが注文を出す必要がある場合があります。このような場合、AI が過去のパターンや継続的な販売データに基づいて、再注文のタイミングや注文数量を学習し、自動化することができます。

データ管理への対応 

AIファーストの戦略は、明確に定義されたデータ管理戦略なしには、真に成功させることはできません。AIとその実践部分にあたる機械学習(ML)は、タスクを達成するためにアルゴリズムを使用します。そして、これらのアルゴリズムは、意味のある結果を出すために高品質のデータを必要とします。データは、構造化、非構造化、または部分的な構造化にかかわらず、さまざまなソースから入ってくるので、データ管理プラットフォームで分類し、分析する必要があります。

データ管理プラットフォームを賢く利用すれば、業務プロセスの自動化や顧客向けシステムサービスの改善など、特定のAIタスクに活用すべきデータセットや機能を特定し始めることができます。そのためには、データソースを特定し、データガバナンスの手順を確立し、何が良いデータで何が除外されるべきかという、事前に定義されたパラメータに従ってデータをクリーニングして分類する、プロセスを持つ必要があります。

まとめ

AIファーストの組織を立ち上げるには労力がかかりますが、その分高い価値をもたらします。新しい市場の需要に迅速かつ決断力を持って適応できる条件が整った企業は、あらゆることに対応できるようになります。

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