データ・イン・モーションの未来とビジネスに何をもたらすのか

データ・イン・モーションの未来とビジネスに何をもたらすのか

by Cloudera Contributors
この記事は、2022/4/27に公開された「A Window Into the Future of Data in Motion and What It Means for Businesses」の翻訳です。

現代の企業の多くは、膨大な量のデータを所有しており、データ戦略がいかに業績にプラスの影響を与えるかを理解しています。それにも関わらず、データライフサイクルのプロセスのすべての段階と連動し、将来を見据えたビジネスを実現するための情報を真に抽出できる組織は、ほんの一握りしかありません。データが作成された時点で実用的な洞察に変換できない場合、多くの可能性が手付かずのままとなり、時間の経過とともにそのデータの有用性が損なわれていきます。

洞察を得るまでの時間を短縮する方法の1つは、リアルタイムデータに対して分析を行うことです。これが「データ・イン・モーション」が注目される理由です。

データ・イン・モーションとは何か?

データ・イン・モーションとは、統一されたデータライフサイクルの一部としてデータを説明するために使用される3つの大まかなラベルの1つです。「保存状態」、「使用中」、「移動中」の3種類があります。データ・イン・モーション(移動中のデータ)は、フロー管理、ストリームメッセージング、ストリーム処理と分析という3つの要素で構成されています。

2016年頃から、エンタープライズデータプラットフォームの文脈で、データ・イン・モーションの話がされるようになりました。さらに、この3年ほどの間に、さまざまな業界で広く応用されるようになり、その人気が高まってきています。

産業分野におけるデータ・イン・モーションの適用

データ・イン・モーションは 4G アプリケーションで活用されてきましたが、5G の登場によって新たな可能性が広がっています。5G アプリケーションの普及をサポートするために、通信事業者は位置情報を利用して、ネットワークの問題解決を迅速化するなど、接続の信頼性を高めています。5G の導入規模は仮想化されていることもあり、大規模で高い水準のサービスを実現するには、リアルタイムでの監視、洞察、予測モデルが必要です。

同時に、5G の採用は IoT(モノのインターネット)を加速させます。日本と韓国では、2025年までに1億5,000万件のIoTへの接続が見込まれ、その中には製造業と物流業界も含まれます。 IoT が可能にする収益は、2026年までに4,600億ドルに達すると予想されており、これは製造業における年平均成長率の約30%の増加に相当します。予知保全アプリケーションは、大規模な製造業が遠隔測定データを収集し、すべての IoT 機能を統合することを可能にします。そして、これらはリアルタイムデータによって駆動するモデルを備えています。

金融サービス業界は、パーソナライゼーション、不正対策、クラウドに集中することで生まれるリスクの低減に、より多くのリソースを割かなければならなくなりました。機械学習モデルを活用するお客様が正確なデータへのリアルタイムアクセスを行うことは、リアルタイムでの予測や推奨の精度を高めるために非常に重要です。一部の国では、金融業界において単一のクラウドサービスプロバイダーに依存しないことでリスクを管理するガイドラインを設定しており、これは、組織が導入するネイティブクラウドサービスの種類に影響を与えています。さらに、デジタルバンキングの将来を見据えた大手金融機関は、金融や投資の議論の中心となっている ESG(環境・社会・企業統治への配慮)要素を考慮する際に、気候リスクをすべてのリスクモデルに組み込むために、データ・イン・モーションに頼る形になっています。

この他にも多くのユースケースがあり、そんなユースケースをトレンドや今後の課題と照らし合わせながら検証するウェビナーを、今年開催いたしました。(追記:オンデマンド配信はこちら。英語版となります)

データ・イン・モーションを支えるプラットフォームに必要なもの

プラットフォームは、さまざまな種類やソースのデータを統合でき、エッジから AI まで、データのライフサイクルのあらゆる段階をカバーしてこそ、データ・イン・モーションの潜在能力を活用することができます。また、データが常に変化する中、組織は洞察の品質と信頼性を確保するために、データの整合性を保護し、その経路のトレーサビリティを確保することの重要性を見過ごすことはできません。また、企業の進化するニーズに対応するため、データプラットフォームは、新しいコネクタやプロセッサを容易にサポートできるような拡張性を備えている必要があります。

組織は、コストの削減、洞察の迅速化、パフォーマンスや精度の向上という3つの主要な次元の均衡を目指してビジネスを行います。投資収益率の観点からすると、データ処理に必要なコストが低ければ、抽出する価値は低くても良くなります。低コストで洞察を得るための新しい手法や技術が生まれると、新しい可能性やユースケースが生まれます。洞察の価値は時間とともに減少するため、ビジネスイベントから時間が経過すればするほど、ビジネスクリティカルな意思決定に影響を与えるデータを分析する時間は短くなります。同様に重要なのは、データの正確さやその他のパフォーマンスの指標という側面です。遅延を減らし、エラーの数を減らすことができれば、データの洞察に対する信頼性が大幅に高まり、結果としてその価値を高めることになります。

データドリブンな組織にとってのデータ・イン・モーション

以前の英語版ブログ記事では、データドリブン型の組織には戦略と文化が不可欠であることを述べました。データを活用することで、あらゆるレベルでより良い、より迅速な意思決定が可能になり、より高い信頼性を得ることができます。リアルタイムで製品や消費者についての洞察を得ることができれば、俊敏性が高まり、イノベーションが促進されるとともに、予知保全機能によって運用効率が最適化されます。

データ・イン・モーションの今後の発展

データ・イン・モーションの重要性が増すにつれ、3つの主要なトレンドが見られると予想されます。組織内でのバッチ分析とストリーミング分析の融合、ハイブリッドアーキテクチャの導入の増加、そしてダイナミックな使用パターンの台頭です。

組織は、新しい柔軟な方法で保存データとデータ・イン・モーションを統合し、オンプレミスや複数のパブリッククラウドにまたがる可能性のあるハイブリッドデータ環境にデータを保存することが必要になります。このため、運用を簡素化し、安全なハイブリッド展開を効率的にサポートする分析ツールやプラットフォームが必要になります。さらに、エンタープライズデータプラットフォームは、動的で時には予測不可能なワークロードに対応するために、弾力性と拡張性を備えている必要があります。

Cloudera APAC フィールド CTO の Daniel Hand によるウェビナー「Are You Ready for the Future of Data in Motion」(英語版)では、データ・イン・モーションの可能性がどれだけ無限に広がっているのかをご紹介しています。オンデマンド配信はこちらからご視聴いただけます。

 

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