データベースの設計図ともいえるスキーマは、データベースを活用するうえで重要な要素です。本記事ではデータベースにおけるスキーマの役割とスキーマの種類、設計と管理の方法について解説していきます。
スキーマとデータベースの関係
スキーマとは「構造」であり、データベース管理システム(DBMS)でサポートされている形式で記述されます。特にデータベースの分野では、データベースの設計図に相当します。データベースにおけるスキーマの役割には、主に以下のようなものがあります。
データベースの構造を定義する
スキーマは、データベース内のテーブルやフィールドの構造、関連性を定義します。これによって、データベースがどのような構造を持ち、どのようなデータが格納されるかが明確になります。
データの整合性を保つ
データの整合性を保つための制約を設定するのもスキーマの役割です。たとえば主キーや外部キーを設定することで、テーブル間の関連性を明確にしてデータの整合性を保てます。カラムに設定できるデータ型や桁数の制限を設定すれば、不正な値が格納されることを防止してデータの品質を保つこともできます。
データの安全性を確保する
スキーマは、データベースへのアクセスを制御(認証されていないユーザーからのアクセスを制限)することでデータの安全性を確保します。逆にスキーマが適切に定義されていないと不正なデータや重複したデータが登録されるおそれがあるため、データベースの正確性や信頼性に欠けることになります。
データベースにおけるスキーマの種類
データベースのスキーマには3つの種類があります。
外部スキーマ
外部スキーマとは、他のデータベースやアプリケーションなど、外部のシステムが使用するデータベースのスキーマのことです。外部スキーマを定義することで、複数のシステム間でデータを共有したり、異なるシステム間でデータをやりとりする際のデータ変換などが容易になります。
概念スキーマ
概念スキーマとは、データベース全体の構造やデータの関係を定義し、その概念的なモデルを表現するスキーマのことです。概念スキーマはデータベースの全体像を表現するため、データベース設計の最初の段階で作成されます。
内部スキーマ
内部スキーマは、データベースの物理的な構造、たとえばデータがディスク上にどのように保存されるかや、データへのアクセス方法などを定義するスキーマです。内部スキーマでデータの格納方法などが適切に設計されれば、データベースのパフォーマンスを最適化できます。
スキーマの設計方法
データベースの機能性やパフォーマンスを最適化するには、正しい手順に従ってスキーマを設計する必要があります。一般的なスキーマ設計のステップは以下の通りです。
ステップ1:要件の収集
データベースに格納するデータの種類と関係性について、アプリケーションやユーザーから必要な要件を収集します。
ステップ2:概念スキーマの設計
概念スキーマを設計では、まず対象とするデータの種類や構造を把握してデータモデルを作成します。さらに、データの整合性を確保するための制約条件の定義、インデックスの設計、パフォーマンスの最適化化(検索クエリの最適化やテーブルの分割など)を行います。
ステップ3:外部スキーマの設計
ユーザーが必要とするデータとその構造を決定するために、外部スキーマを設計します。外部スキーマの設計は、ユーザーが必要とするデータや操作など要件の洗い出しから始め、データモデルの作成、ビューの定義、アクセス制御の設定という順番で行います。
ステップ4:内部スキーマの設計
内部スキーマでは物理的なデータの格納方法やアクセス方法を定義します。具体的な内容は、データを格納するストレージ(ハードディスク、SSD、フラッシュドライブなど)の選択や、フラグメンテーションを最小化するための設定、バックアップとリカバリーの設計などです。
ステップ5:スキーマの実装
スキーマの設計が完了したら、それを実際のデータベースに実装します。具体的な実装方法は、MySQLやOracle Databaseなど、使用するデータベース管理システムによって異なります。
ステップ6:スキーマのテストと調整
最後に、設計したスキーマをテストし、必要に応じて調整を行います。データの正確性や完全性、パフォーマンスなどを検証して、問題があれば修正します。
スキーマの管理方法
データの安全性や可用性を確保するためには、スキーマの適切な管理が欠かせません。スキーマの管理方法やその内容はデータベース管理システムによって異なりますが、ここでは主なものを紹介します。
バージョン管理
複数の開発者がスキーマを変更した際の競合を防ぐため、バージョン管理システムによって変更履歴を管理します。
アクセス制御
重要なデータを保護するため、スキーマへのアクセス権限を設定します。データベース管理システムによってはユーザーアカウントごとにアクセス権限を設定することもできます。
バックアップと復元
重要なデータを保護するため、スキーマのバックアップを定期的に行い、必要な場合には復元できるようにします。
パフォーマンスチューニング
データベース全体のパフォーマンスを向上させるため、スキーマ内のテーブルやインデックスを最適化します。
監視とアラート
システム障害やセキュリティ攻撃などに対して監視を行い、異常を検知した場合にアラートが発行されるようにします。
まとめ:スキーマを正しく理解し、データベースを最大限に活用する
データベースにとってスキーマは非常に重要です。スキーマについて正しく理解し、適切な設計と管理を行うことによって、自社のデータベースを最大限に活用していきましょう。