2020年に予測されるクラウドコンピューティングの3つのトレンド

2020年に予測されるクラウドコンピューティングの3つのトレンド

著者: Anupam Singh
本ブログは記事は「https://blog.cloudera.com/three-trends-in-cloud-computing-to-expect-in-2020/」(2020/1/7投稿)の日本語翻訳の記事です。

新年が始まり、今年は何が起きるのかを考える時が来ました。企業は2020年にクラウドコンピューティングへのさらなる適応を進めることで、過剰な予算、新しく導入される規制や法令、そして技術の変化へ対応していきます。今年こそ、何が機能し、どの様なソリューションが企業を正しい方向へ導いてくれるのか見極めることができる年になるはずです。
そこで全ての業界におけるクラウドコンピューティングに影響を与える3つのトレンドについて見ていきましょう。

1. クラウドの真のコスト:エフェメラルコンピューティング(*1)のプロセスの再検討

様々な組織がクラウドに移行し、(コンピューティングにおける)”アジリティ”の追求が、クラウドコストの高騰を導いていることがわかってきました。CFOはクラウドの請求額の増加を問題視し、CDOはクラウド費用が組織のパフォーマンスの向上に結びついているのか懸念を持っています。その一方で、CIOはクラウドコンピューティングの”アジリティ”が、クラウドの高額なコストになってきていることに懸念を示しています。それぞれの問題に対応していかなければ、今後大きな問題になりかねません。

そこで企業はパブリッククラウドをうまく活用するためには、企業にあるプロセスを再検討する必要があります。このトランスフォーメーションの中で、企業は一部のワークロードや機能(特に機密情報を伴うもの)をオンプレミス環境に戻しコストを削減することで、企業は以前よりも柔軟で、かつ”アジリティ”を持った方法でパブリッククラウドを十分に活用することができるようになるでしょう。エフェメラルコンピューティングは、特にクラウド要件が事前に正確に予測できない場合や、処理状況に応じてスケールを大きくも小さくもできるような構成が求められる場合のソリューションになります。

(*1) エフェメラルコンピューティングとは、一時的なコンピューティングリソースのこと。目的を達成した後に、余剰となった分のリソースについては破棄される。

2. 規制や法令に取り組む組織、その膨大なコスト

カリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)が今年1月に施行され、企業は新しい規制が適用されることを認識していながらも、どのくらいの量の、どのようなデータが、規則に準拠できていないのかについて事前に認識できていません。つまりどのくらいの罰金が科されるのかを知りません。CSOたちは、パブリッククラウドにあるデータの”認可プロセスの欠如”に懸念を持っていて、それはIT部門と業務部門の間に緊張感をもたらすことになります。

企業は、パブリッククラウドにはCCPAの規制に対する見通しや準備が不足していることなど大きなギャップがあることに気づき始めています。この状況により、2020年には多くの企業が規制を遵守することが難しく、CCPAに対して多額の罰金を払うことになるでしょう。

さらに、企業が規制を遵守し続けるために、GDPRの規制の時と同様に、ガバナンス要件に合うようなパブリッククラウド製品を、ものすごい勢いで開発をするクラウドベンダーが増えてきます。今後、「一度定義したら、どこにでも設定・適用ができる」ような認可ポリシーを使うことができる基盤をより多くのCSOたちは構築したいと思うはずです。

3. シャドーIT(*2)を解き放つ鍵としてのハイブリッド戦略

(*2 )シャドーITとは、ビジネスの問題解決のスピードに合わせて導入されるITを指し、IT部門が関与せず業務部門のみで導入されるITサービス。

何年もの間、業務部門(LoB)はパブリッククラウドのSaaS技術をIT部門の関与なく、積極的に導入を続けてきました。なぜならIT部門にとって、データセンター内の余剰リソースを見つけることは困難だったからです。また予算のサイクルは遅く、人的リソースの配分においても柔軟な対応はできていませんでした。それにより、シャドーITと呼ばれるようなIT運用が始まりました。しかし、KubernetesやOpenShiftが広く採用され始めたことで、IT部門は業務部門が求める要求についても対応が可能となってきました。

このシャドーITに少しの秩序を持たせるために、管理チームがそれぞれのビジネスユニットが利用した使用量を監視し、柔軟にデータやアプリケーションの保存場所やデータのライフサイクルを管理することができるハイブリッド戦略を企業は採用していくことになります。データセンターがよりパブリッククラウドのように振舞うようになると、IT部門はデータセンターとパブリッククラウドの間で業務部門のユーザが求めるIT運用を迅速に提供できるようになるでしょう。

ここで上げるハイブリッド戦略とは、データの保存先を複数箇所にしてしまったり、IT部門のワークロードを増やす様なポイントソリューション(特定のビジネスの課題の為だけに導入するソリューション)のことではなく、コンピュートの規模や所在(クラウドなのかオンプレミスなのか、またはエッジなのか)の選択に柔軟性を持ち、集中管理ができる基盤を実現する手段を指します。このハイブリッドアプローチによって、様々な部門やペルソナ(想定する利用者)が求めるコンピューティング環境を実現することができるようになるでしょう。

柔軟な導入が求められる年

最後に、2020年はパブリッククラウドからプライベートクラウド、そしてエッジコンピューティングまで、様々なインフラ環境をまたいだ基盤の導入を進めることでビジネスニーズが満たされ始める年になるでしょう。ワークロードをクラウドからオンプレミスやエッジまで、どこにでも展開できるようなソリューションが、今年企業が求められる対応にとって、とても重要になってきます。

謝辞

日本語版翻訳にあたり、Cloudera Japan の Eishin Yoshida、Bin Liu、Yoshiyuki Kono、Tatsuo Kawasakiのレビューに感謝します。

 

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