by Mick Hollison
この記事は、2022/3/16に公開された「Planet and Profit: Reshaping Business Priorities for Good」の翻訳です。
世界的なパンデミックは、経済において新しい波をもたらしました。状況の変化、データ、自動化、人工知能(AI)の急速な融合に後押しされ、現代の企業は、内外から来るプレッシャーに立ち向かわなければなりません。顧客の要求の高まりからのプレッシャー、かつ世界的な人材不足の中で、純粋に利益だけでなく、利他的な考え方や目的意識を持った労働人材が求められています。ビジネス意思決定者を含む全従業員が、「正しいこと」を行うことが利益を上げることと密接に関係していると、考えているのです。
Clouderaの新しい調査「Limitless: The Positive Power of AI」(英語版)にて、環境、社会、コーポレートガバナンスは、ビジネスリーダーにとって最優先事項であることが確認されています。本調査によると、企業やコミュニティに貢献するために、AI・ML・データ分析戦略を今すぐスピードアップしようという準備ができている企業は、出遅れている企業に対して、大きく優位であることがわかります。それは、なぜでしょうか?また、ビジネス上の意思決定者とナレッジワーカー(知識によって企業や社会に貢献する労働者)は、コミュニティにとって有益なデータの活用に失敗すると、その成長と人材が大きなリスクにさらされるということに同意しています。
社会貢献は、ビジネスと人材の成長の両方をサポートする
現在、企業の意思決定者の約4分の1(24%)とナレッジワーカーの5人に1人(22%)が、会社は、持続可能なビジネス手法を公に支援するべきだと答えています。実際、サステナビリティは非常に重要であり、ビジネス上の意思決定者の4分の1以上(26%)が、新製品・サービスの開発(24%)や財務的成長の加速(22%)よりも、コーポレートガバナンスへの投資拡大を優先しています。また、大多数のナレッジワーカー(81%)は、組織とそのコミュニティ双方に利益をもたらす、より持続可能なビジネス手法を実現するために、AIを活用する必要があると主張しています。
しかし、ビジネス上の意思決定者の3分の1以下(31%)は、これらのテクノロジーの仕組みについて理解が浅いままであり、その導入に関して積極的ではありません。企業が本当にサステナビリティを中核に据えたいのであれば、よりサステナブルな成果をもたらすためにデータを活用することを、迅速に開始しなければなりません。
実際、行動に移さないと、重大な結果を招くことが考えられます。ビジネス意思決定者の約半数(47%)とナレッジワーカーの40%が、今後36ヶ月の間にデータを活用して、より持続可能なビジネス上の意思決定を開始しなければ、自社の成長率が低下するとの考えを明らかにしました。さらに、ナレッジワーカーの23%、ビジネス上の意思決定者の27%が、この理由で従業員が離職すると考えており、何もしないと「大量辞職」という惨事が起こり得るのです。
AIに職を奪われる可能性から、スキルアップへの投資に注目が集まる
かなり最近(パンデミック前ぐらい)まで、人々はテクノロジーに仕事を奪われるのを恐れているという考えがありましたが、これはもう事実ではありません。ナレッジワーカーの10人に8人(80%)が、AI・ML・データ分析の影響によって、別の職務に就くことに抵抗はないと答えています。ナレッジワーカーは、今後36ヶ月の間に、AIによって64%、MLによって63%、データ分析によって69%、仕事が変化すると考えているということからも、素晴らしい結果と言えます。
ナレッジワーカーの考えは、間違っていません。ビジネス上の意思決定者の大多数(91%)が、既存のAIプログラムによって成功を収めていることを明らかにし、同様にデータ分析で89%、MLで87%が今後さらなる変化が起こることを示唆しています。企業の意思決定者は、今後18ヶ月以内に新しいAI(83%)、ML(77%)、データ分析(82%)のプログラムやソリューションを組織に導入する、明確な計画を持っていると回答しています。
良いニュースとしては、企業は現在の従業員を削減するような形でのテクノロジーの導入は行わないということです。企業の意思決定者の10人に9人(91%)が、より多くのタスクが自動化される中で、従業員のスキルアップトレーニングに継続的に投資していくと回答しています。ナレッジワーカーの4分の3以上(77%)が、AI・ML・データ分析技術を活用して働くためのトレーニングに、会社が十分に投資していると感じていることを明らかにし、従業員はすでにそれを実感しています。
まとめると、「Limitless: The Positive Power of AI」(英語版)は、テクノロジーと労働力の両方に関する限り、ビジネスにおいて大きな変化が待ち受けていることを証明しています。自動化と人工知能によって、利益のためだけではなく、地球のためにも「正しいこと」を行うことに焦点を当てるという、経済の新しい波が、世界的にきていることがわかりました。データを活用し、そこから洞察と実用的なインテリジェンスを得る能力は、組織が自らをどう見ているか、どう活動しているか、そしてそれを推進する人々が、どう生活し、働くのかを変え続けるでしょう。
データと分析は、誰もが簡単に利用できるものでなければならないのです。
「Limitless: The Positive Power of AI Study」について
ビジネス意思決定者とナレッジワーカーの両方への調査は、イギリス、ロンドンに拠点を置く独立系市場調査コンサルタント会社である、Sapio Research社によって実施されました。従業員数1,000人以上の企業に勤務するビジネス幹部54%を含む2,213人のビジネス上の意思決定者、400人のIT意思決定者に対して、2021年8月にオンライン調査を実施しました。ナレッジワーカー(日々の仕事の一部としてテクノロジーにアクセスする正社員のエンドユーザー)の調査も、従業員1,000人以上の組織に雇用されている人を対象に、同時期に実施されました。