データリネージとは?ビジネスとの関係やメリットについても解説

データリネージとは?ビジネスとの関係やメリットについても解説

現代の企業は日々発生する無数のデータに囲まれています。しかしそれらのデータをビジネスで活用するには、データの履歴をしっかり把握して身元の確かなデータを選ばなければなりません。本記事ではその手法である「データリネージ」について解説していきます。

データリネージとは

データリネージとは、データの発生から現在に至るまでの一連の情報、つまりデータの履歴を可視化することです。そもそも「リネージ(リネージュ)」という言葉には血統や系統といった意味があります。人の来歴や一族の系統を過去に遡って明らかにしていくように、データリネージはデータの血筋、もしくは系統を明らかにするためのものです。

ひとくちにデータの履歴を明らかにするといっても、可視化される内容にはさまざまなものがあります。たとえば以下のような情報が挙げられるでしょう。

  • データの作成(発生)日時
  • データの作成者
  • データの変更/編集/更新履歴
  • データの変更や編集に使われたツール
  • データの保管場所
  • データの流れ(移動経路)
  • データの管理者/アクセス権者
  • データにアクセス/利用した人、など

データリネージとビジネスの関係

データの履歴を確認することは、ビジネスにおいて大きな意味を持っています。ここでは重要ないくつかのポイントをご紹介します。

経営判断の根拠となる

経営上の重要な決定をするうえで、データの信憑性は必要不可欠です。データリネージはデータの発生から現在までのすべての経路と変更履歴を明らかにするため、経営者は信頼性の高いデータに基づいた経営判断が可能になります。

データ運用の指針となる

clouderaデジタルサイネージとはデータリネージはサーバーなどの障害発生時にデータが受ける影響や、データの流通経路内でデータ漏洩のリスクがある箇所の特定にも役立ちます。これによりデータを安全に運用するための指針を立てたり、データを効率的に作成・運用することが可能になります。

 

データ修正をサポートする

データを本来あるべき形に修正することは、データの品質確保や品質の向上に欠かせません。データリネージはデータの変更履歴をすべて明らかにするため、人為的なミスや機器の故障によるデータの破損・改ざんの発見にも役立ちます。

各国の規制に対応できる

ビジネスには「個人情報保護」や「消費者保護」などを理由にさまざまな規制がかけられています。これらの規制の多くは企業が保有するデータの保存方法や処理方法を指定しており、対象エリアや対象業界内でビジネスを行う企業は自社がデータを適正に取得し、管理・運用していることを証明しなくてはなりません。

【国際的な規制の一例】

  • GDPR:EU一般データ保護規則
  • CCPA:カリフォルニア消費者プライバシー法※
  • FRTB:トレーディング勘定の抜本的見直し
  • MiFID2:第2次金融商品市場指令
    ※2023年1月よりCPRA(カリフォルニア プライバシー権法)へ移行

【国内規制の一例】

  • 個人情報保護法
  • 電気通信事業法
    データの取得(発生)から現在までの管理・運用履歴や変更履歴を明らかにするデータリネージは、各国の規制に対応するうえで必要不可欠です。

データリネージがもたらす3つのメリット

データリネージが企業にもたらすメリットには以下のようなものがあります。

①業績を向上させる

1つ目のメリットは「業績の向上」です。すでに説明した通り、データリネージによって経営者は精度の高い経営判断を行うことができます。また事業部門の営業活動も正確なデータに基づいて行われるためビジネスの効率が上がり、それによって業績も向上します。

②コストを削減する

2つ目のメリットは「コストの削減」です。一般にデータ管理は多くの時間と人的リソースを必要とします。データリネージを行うことでデータ管理上の無駄を発見できれば一連の作業が効率化され、コスト削減につながります。

 

③リスクを回避する

3つ目のメリットは「リスクの回避」です。データリネージによってデータの流れを把握すれば、データ漏洩や改ざんといったリスクの発見や防止に役立ちます。これは企業の信用を守るだけでなく、GDPRなどの規制違反で莫大な制裁金が科されることを避ける上でも重要です。

次世代データリネージの必要性

インターネット技術の発達により、企業が扱うデータはオンプレミスだけでなく無数のクラウド上に分散するようになりました。このため現代のビジネスシーンに対応するには、サイロ化されたデータのみを対象とする従来のデータリネージではなく、格納場所に関係なくデータを追跡できる次世代のデータリネージが必要でしょう。

なお次世代データリネージの機能はベンダーによって異なりますが、多くの製品では、AIと機械学習を活用することで膨大なデータを迅速に自動処理することが可能です。

まとめ:データリネージでビジネスの質を向上させる

データの履歴を明らかにするデータリネージは、経営者や事業部門に信頼できる正確なデータを届け、データ管理の効率化に役立つ重要な手段です。また世界中で強化されるさまざまなデータ規制に対応するうえでも欠かせません。自社のニーズに合った次世代データリネージの導入は、これからのグローバル競争を勝ち抜いていくために必要不可欠といえるでしょう。

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