さまざまなデータを分析して経営上の意思決定に役立てる「データ駆動型経営」が注目を集めています。本記事ではDXとも深い関係のあるデータ駆動型経営について、導入に必要な要素やメリット、データ駆動型経営の流れについて解説していきます。
DX推進のカギとなるデータ駆動型経営
データ駆動型経営、もしくはデータドリブン経営とは、日々蓄積されるあらゆるデジタルデータを活用して企業経営の意思決定に役立てる手法を指します。これまで多くの企業では、経営判断の基準を経営者の「直感や経験」に依存してきました。これをデータ分析という「客観的な科学的根拠」に基づいた経営手法に変え、既存ビジネスの生産性向上や新規ビジネスの創出につなげていくのがデータ駆動型経営です。
データ駆動型経営は、急速に変化するビジネス環境に対応するうえで欠かせない「DX(デジタルトランスフォーメーション)」のカギとして注目されています。
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(経済産業省『デジタルトランスフォーメーションの河を渡る~DX推進指標診断後のアプローチ~ 第2章 デジタルエンタープライズとデータ活用より引用)
DX推進を目指すすべての企業にとって、データ駆動型経営への対応は「必要不可欠」といえます。
データ駆動形経営に必要な3要素
データ駆動型経営には大きく分けて3つの要素が必要です。
①デジタル技術の導入
1つ目の要素は「デジタル技術の導入」です。具体的には膨大なデジタルデータを収集・蓄積するためのプラットフォーム、そして収集されたデータを分析する各種のITツールが欠かせません。たとえばプラットフォームの一例としては「DMP」や「CDP」があります。またITツールの例としては「CRM」「SFA」「MA」などが挙げられるでしょう。
②人材の確保・育成
データアナリストやデータサイエンティストなど、統計解析や情報科学に精通した高度な人材の確保も重要です。ビッグデータの分析にはAIの活用が不可欠ですが、そのためにもこれら「AI活用人材」の育成が求められます。
③組織文化の醸成
データ駆動型の経営を成功させるには、それを理解し行動する企業風土が必要です。どれだけ的確なデータ分析を行っても、経営陣がそれを受け入れなければ意味がありません。またデータに基づく意思決定がなされたら、社内でそれを共有していく必要もあります。
データ駆動形経営を導入するメリット
データ駆動型経営が企業もたらすメリットはさまざまです。ここでは代表的なものを紹介します。
ニーズや課題が可視化される
日々蓄積されるデータの中には、自社の経営課題をはじめビジネスに関するあらゆるヒントが隠されています。これらのデータを可視化し、客観的・俯瞰的に把握するのがデータ駆動型経営の特徴です。自社の経営状態が可視化されれば課題の解決方法を言語化・数値化して共有できますし、社員がとるべき行動を具体的に示すこともできます。
顧客への理解が深まる
顧客に関するデータを分析すれば、顧客の動向や潜在的なニーズの把握が可能です。それによって自社の製品やサービスに付加価値を与えたり、顧客が求めているものをタイムリーに提供できるようになります。こうしたマーケティング戦略やプロモーション活動が顧客満足度を最大化させ、競合他社との差別化につながっていくでしょう。
意思決定に説得力が生まれる
データ駆動型経営は科学的な根拠に基づく意思決定です。個人の直感や経験といった主観ではなく、客観的なデータに基づいた判断や指示は誰にとっても明快で説得力があります。企業を取り巻く環境の変化が加速する中、経営者が自信を持って判断を下すためにもデータ駆動型経営は必要不可欠です。
データ駆動形経営の流れ
データ駆動型経営の具体的な流れについて説明します。
①データの収集・蓄積
まずは分析対象となるデータを収集します。データが少ない場合や存在しない場合は分析そのものが困難になるため、十分な量のデータを蓄積しなければなりません。なお目的と関係のないデータを集めて時間を浪費しないため、あらかじめ必要なデータを明確にしておくことが重要です。
②データの整理
収集した生データを必要なデータと不要なデータを選別し、データの形式を整えることで分析を容易にします。この作業は膨大なデータを対象とするため、BIツールやDMPなどを利用するのが一般的です。
③データの分析
各種ITツールを使ってデータを分析します。精度の高い分析結果を導きだすためには専門スキルを持った人材が必要ですが、社内にそうした人材がいない場合は外部の専門家を活用することもあります。
④意思決定
分析結果に基づいて、具体的な経営方針や施策を決定します。
まとめ:データ駆動型経営で企業を成長させる
データ駆動型経営は、ビジネス環境の変化に強い柔軟な企業体質を生み出します。従来の手法に固執せず、最新のデジタルツールを意思決定のプロセスに取り入れることが、企業をより一層成長させるためのカギとなるでしょう。