by Joe Rodriguez
この記事は、2023/04/19 に公開された「Discovering Data Monetization Opportunities in Financial Services」の翻訳です。
金融サービス業界において、データは新たな収益の取り組みに欠かせない推進力となっています。顧客、取引、市場の動きなどから収集される膨大な量のデータは、金融サービス会社がビジネス上の意思決定、顧客サービスの向上、新たな収益源の創出につながる洞察を得られるといった大きな可能性を秘めています。また、プライバシー強化技術 (PETs) などの顧客を保護するための新しい技術の出現により、データのデータマネタイゼーションはさらに身近なものとなっています。
モバイルファーストかつすべてがモバイル化している現在、モバイルバンキング用アプリケーションの利用が急増し、コロナによってさらにその傾向が加速しました。残高の確認、預金、支払いなどの取引をモバイルで行う人が増えたことで、金融サービス会社は顧客のさまざまな行動に関する大量のデータを収集できるようになりました。これらのデータやその他のソースから集められたデータは、データマネタイゼーション (収益化) の重要な機会となっています。これらのデータを活用し、データドリブンな文化を創造することで、企業は新たな収益源を生み出し、業務の改善を図ることができます。
データを販売する
金融サービス業界にてデータを収益化する方法の一つに、第三者への売却があります。
具体例をいくつかご紹介します。
- リテールバンキング:消費者行動を把握したいマーケティング会社に、顧客取引データを販売する
- 商業銀行:企業取引や信用履歴に関するデータを信用格付機関や他の金融機関に販売する
- ウェルスマネジメント (富裕層向けの資産管理):財務目標やリスクプロファイルに基づくカスタマイズされた投資推奨などの分析・洞察を顧客に販売する
- 資産運用会社・ファンドマネジメント:さまざまな投資ポートフォリオのパフォーマンスデータなど、データ・分析を顧客に販売する
- 証券取引所:市場のトレンドや動きの追跡に関心のある金融機関や報道機関にリアルタイムの市場データを販売することで、データの収益化を図る
- 中央銀行:経済指標や金融政策に関するデータを金融機関や研究者に販売する
新商品・新サービスの開発
金融サービス組織は、データを販売するだけでなく、そのデータを使って新しい商品やサービスを生み出すことで、収益化を図ることもできます。カスタマー360の取り組みは、ハイパーパーソナライゼーションによって、適切な顧客に次善の策を講じることを可能にします。それを生かし、顧客のエンゲージメントを高め、データのマネタイズによる成果を高めることができます。
例えば、リテールバンキングでは、顧客の取引データを利用して、クレジットカードや投資ポートフォリオなど、個人のニーズに合わせた金融商品を開発することができます。投資銀行は、市場動向や投資家の行動に関するデータを利用して、デリバティブやストラクチャードファイナンス (仕組み金融) 商品など、新しい金融商品やサービスを生み出すことが可能となります。
コンプライアンスの遵守
一方で、顧客データを保護し、データプライバシーに関する法律を遵守することは、金融サービス会社にとって非常に重要です。「大きな力には大きな責任が伴う」という言葉が当てはまります。顧客のプライバシーを尊重しながら、データを収益化するために、堅牢なデータ保護対策を実施し、関連する規制に従う必要があります。これには、暗号化や多要素認証などの強力なセキュリティ対策の実施、同意がある場合のみデータを収集・使用することなどが含まれます。
さらに、第三者とのデータ共有方法についても慎重に検討し、データ利用条件をまとめたデータ共有契約を締結する必要があります。また、EU 一般データ保護規則 (GDPR) やカリフォルニア州消費者プライバシー法 (CCPA) など、関連するデータプライバシー法を遵守し、データ保護の実践について透明性を確保することも必要です。
データドリブンな文化にシフトする
金融機関がデータの価値を十分に発揮するためには、意思決定やイノベーションにデータ活用を優先して行うデータドリブンな文化を創り出す必要があります。Cloudera のようなプラットフォームを利用するなど、最新のデータアーキテクチャへの投資もその一部です。例えば、Cloudera は、Santander UK のような組織が持つ大量のデータをリアルタイムで保存、処理、分析することを可能にしています。データを活用して戦略や業務に反映させることで、金融サービスは顧客への理解を深め、リスクマネジメントを改善し、新たな成長機会を見出すことができます。
金融サービスがデータを第三者に売却したり、新しい製品やサービスを生み出すために活用するなど、データを収益化する方法は数多くあります。データドリブン型の文化を採用し、最新のデータアーキテクチャに投資することで、これらの企業は、顧客のプライバシーを保護しつつ、データをよりよく活用してイノベーションを推進し、新しい収益源を生み出すことができます。
金融サービス会社が、顧客維持、収益性の向上、不正行為やリスクの低減など、データドリブン型のユースケースにClouderaをどのように活用しているのか、詳しくはこちらをご確認ください。