ハイブリッドクラウドにおけるデータガバナンスの位置づけ

ハイブリッドクラウドにおけるデータガバナンスの位置づけ

by Wim Stoop
この記事は、2024/06/14に公開された「Where Does Data Governance Fit Into Hybrid Cloud?」の翻訳です。

人工知能 (AI) や、生成 AI、大規模言語モデル (LLM) などのツールが爆発的に普及している現在、組織のデータを最大限に活用することは、ビジネス価値を高め、市場での競争優位性を確立するために不可欠です。その目標を達成するために、より多くの企業が、オンプレミス、クラウド、またはその両方であるハイブリッド・クラウド・インフラに注目しています。

しかし、ハイブリッド・クラウド・インフラストラクチャとその AI の可能性に関する注目度の高さと動きにもかかわらず、適切に管理する必要があるリスクと課題は依然として存在します。本質的に、ハイブリッド・クラウド・インフラストラクチャではデータが環境間を移動するため、セキュリティリスクがあるだけでなく、一般データ保護規則 (GDPR) やカリフォルニア州消費者プライバシー法 (CCPR)、さらには医療保険の携行性と説明責任に関する法律 (HIPAA) のような内部基準や外部規制へのコンプライアンスの欠如に対してデータが脆弱になる可能性があります。

データガバナンスの必要性自体は、新しい現象ではありません。これは、常に全員の日常のワークフローと並んで重要なタスクであり、他のプロジェクトとは異なり、常に実施されていることでもあります。ハイブリッド・クラウド・インフラストラクチャがデータインフラストラクチャの望ましいアプローチとして確固たる地位を築いている今、ガバナンスは「やることリスト」の最上位に位置する必要があります。

優れたデータガバナンスを阻む障壁

Cloudera の調査によると、企業リーダーの72%は、データガバナンスがビジネス価値を高める要因であることに同意しています。しかし、リーダーシップからの賛同が得られない、ツールやそれを使用するユーザーがバラバラである、データがますますサイロ化しているなど、さまざまな問題が、データガバナンスの包括的でインパクトのある対策を妨げています。ハイブリッド・クラウド・アーキテクチャが主流になるにつれ、データのサイロ化は、ほとんどの IT リーダーが経験のある課題であり、ガバナンスを管理する際の悩みの種となっています。複数の環境が混在するハイブリッドアーキテクチャで業務が実行される場合、データアクセスや可視性などが効果的に管理されないと、さまざまなワークロードが分離します。その結果、実行されている組織全体で何が起きているかを全体的に把握することが難しくなります。

このことは、最もデータドリブンな組織であっても、データ・ガバナンス・プラクティスが効果的に実装されていることを確認する上で大きな課題となります。Cloudera の調査によると、企業の実務担当者の4分の1以上 (26%) が、組織全体で51~100のデータサイロが広がっていると回答しています。このようなサイロ化を解消し、意味のある包括的なレベルのデータガバナンスを実現するには、大企業とデータドリブンな組織の両方が、ハイブリッド環境におけるデータの可視性を高める必要があります。同時に、ビジネスレベルのデータガイドラインと外部規制の両方に対する、一貫したコンプライアンスを確保するソリューションを優先し、完全に統合する必要があります。

包括的でインパクトのあるデータガバナンスの確立

では、ハイブリッドクラウドにおけるデータガバナンスはどのように進めればよいのでしょうか。IT リーダーやビジネスリーダーの中には、ガバナンスに対してより断片的なアプローチを試みる人もいます。それは、ある程度効果的ではあるものの、ガバナンスが効果的に行われているように見える「孤島」を作り出し、IT リーダーがそれを見て、課題が解決されたと判断することになってしまいかねません。このような「孤島」は、間近で見ると健全に見えるかもしれませんが、企業レベルでは断片化、孤立化し、他の領域でガバナンスが変更された場合に崩壊しやすくなります。結局のところ、優れたガバナンスの鍵は、企業レベルで統一されたガバナンスとデータの可視性の視点を提供するソリューションとアーキテクチャを活用することなのです。

ハイブリッドクラウドの環境では、データの重心となる大きなデータに向かって小さなデータが引き寄せられます。これらの連携をそれぞれで作成、管理、維持することは、時間の経過とともにそれらが増大するため、データガバナンスの取り組みを妨げます。そこで、適切なハイブリッド・データ・プラットフォームを採用することで、こうした運用を変革し、真のハイブリッドクラウドを実現することができます。適切なソリューションを導入すれば、企業はデータファブリックのようなアーキテクチャを活用できるようになります。データファブリックとは、データの保存場所や構造方法に関係なく、組織全体でデータの統一されたビューを提供するように設計されたデータアーキテクチャの一種です。

また、データ管理に自動化を導入することで、データのロック解除だけでなく、情報の選別や調査、何がどこにあり、誰がアクセスする必要があるかの判断、データガバナンスにフィードバックする内部ガイドラインやアクセスルールの強化も可能になります。包括的なデータガバナンスの文脈において、データファブリックの実装は極めて重要な第一歩となっています。


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Cloudera Japan Marketing
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